研究課題/領域番号 |
04807135
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
冨士谷 盛興 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (60190055)
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研究分担者 |
大槻 昌幸 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (30203847)
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キーワード | 接着性レジン / NMSA / サリチル酸誘導体モノマー / 4-CPセメント / 抗菌性 / 直接覆髄 / 歯髄刺激 / 被蓋硬組織 |
研究概要 |
新規開発のKB-100は、当教室で開発したClearfill Liner Bond Systemをベースとしており、接着促進作用、並びに消毒性及び知覚鈍麻作用をも期待できるサリチル酸誘導体モノマー(NMSA)の応用された新世代の接着システムである。まず、その接着性能を調べたところ、エナメル質並びに象牙質双方に対して非常に優れた接着性及び窩壁適合性を有する高性能のシステムであることが判明した。更に、サルを用いた歯髄象牙質試験も行ったところ、従来の接着システムの歯髄刺激性に比し格段に低いものであった。一方、NMSA、硬化するとハイドロキシアパタイトに変化する新開発の4-CPセメント、及びそれらの混和物等の抗菌性を検討したところ、4-CPには抗菌性がなかったが、NMSA及びNMSA混和物には効果が認められた。そこで、これらの基礎実験をもとに、過渡的な方法とされた水酸化カルシウム(Ca(0H)2)直線覆髄に代わり得る覆髄法、すなわち歯髄刺激性がなく、硬組織の形成量も少なく、また消毒性や歯質接着性まで有する新覆髄法を開発すべく、サルを用いた病理実験を遂行した。覆髄剤として、NMSA単味、4-CP及びα-TCPセメント、Liner Bond(LB)及びKB-100(KB)、更に対照としてCa(0H)2及びCa(0H)2セメントを採用し、4、90日後の組織変化を比較検討した。歯髄刺激性に関しては、いずれの材料もCa(0H)2系に比し若干の初期刺激があったが、90日後ではNMSAの一部に多少炎症が残った他は著変はなかった。また、Ca(0H)2系では多量の骨様被蓋硬組織が形成されたが、他の材料はいずれも少なく部分的で、特にKB及びLBでは、細管構造を有する比較的成熟した象牙質様被蓋硬組織が観察された。KB-100は、操作性が単純でありながら極めて高い性能を有しているため、技術上のミスも引き起こされにくく、レジンの為害性という一般概念の存在する中極めて独創的ではあるが、覆髄に求められる要件を満たす唯一の接着システムであると考えている。
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