研究概要 |
本研究は骨代謝マーカーとしてのCS-PG仮説をレベルアップするため、GCF中のCS-PGの由来を検討することを目的としておこなった。 1、GCF、歯肉、血清をSDS-PAGEで泳動後、セルロースアセテート膜にウエスタンブロッティングし、モノクローナル抗体で各サンプルのC4S-PG,C6S-PGを免疫染色した。その結果、両PGのGCFメジャーバンドは血清のそれに一致し、マイナ-バンドは歯肉のそれに一致した。 2、歯肉縁下歯石のCS-PGをセルロースアセテート膜上で二次元電気泳動を行った結果、CS-PGは脱灰縁下歯石に含まれる唯一の硫酸かPGであった。またこれをHPLCによる異性体分析した結果、その大部分はC4S-PGであった。 3、骨コラーゲンに特有の架橋物質であるピリジノリン、デオキシピリジノリンが、GCFに含まれるかどうかELISA法で検討した結果、GCFに検出可能であった。また、イヌの歯周炎モデルに応用した結果、急性炎症時のGCFには多量含まれ、慢性期には低下したが、これは同じモデルでのCS-PGのプロフィールと一致した。 以上の結果、GCF中には血清と歯肉由来のCS-PGも存在することを分子量レベルで明らかにし、歯槽骨を含む深部歯周組織に特異的なものではないことがわかった。しかし、骨には特異な架橋物質がGCFが検出され、CS-PGと同様の動態を示すことは、CS-PGが骨破壊マーカーとなり得ることを示唆した。 歯肉縁下歯石のCS-PGは、血清と歯肉を含む歯周組織代謝産物由来のものと考えられる。
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