研究概要 |
2.2ビス(4メタクリロキシプロピルエトキシフェニル)プロパンとトリエチレングリコールジメタクリレートの50mol%の混合モノマーを液部とし,超微粒子球状シリカと10μm位の不定形シリカの混合フィラーを混入した試作コンポジットレジンの収縮を測定した. その結果,体積収縮率はフィラーの混入率に比例して減少するが,線収縮率は10%の混入で体積収縮率から換算した線収縮率の1/2に低下し,60%の混入でほぼ一致することがわかった. また,フィラーの形状を不定形,球状の大小と変えた場合の線収縮率の大きさはいずれもほぼ同じであったが,試験体の長さを変えた場合のそれは短いものが大きく,5mm以上ではほぼ一定値を示した. さらに,収縮応力は体積収縮率とはまったく逆に,フィラーの混入率に比例して大きくなったが,窩洞上面の陥没量は比例して減少した. 重合開始剤の量を変化させた場合の収縮応力は,開始剤量が多くなると大きくなるが,その率は徐々に減少する傾向にあり,フィラーの無い場合と混入した場合の傾向は比例した.陥没の表面形状はフィラーの有無によって異なった. 以上から,コンポジットレジンに関する収縮は組成が極めて複雑に関与することが明らかになり,体積収縮率以外ではフィラーの体積率に比例しないことが解った.すなわち,収縮による影響の少ないコンポジットレジンは,必ずしもモノマーの収縮が少ないものと限らないことが明らかとなった.
|