研究概要 |
我々は,Eーオレフィンを持つジオールモノチオノカーボネートE-1を塩基で処理すると,中間体の8員環チオノカーボネートE-2の[3,3]シグマトロピー転位により,一挙にZーオレフィンを持つ10員環チオールカーボネート3を排他的に与えることを見いだした。また,これは2がチェア型遷移状態Tcをとることを独自に開発した分子力学及び分子軌道本計算の組み合わせ法によって実証してきた。 さらに当該年度内に以下の事柄を明かとした。 1.従来反応中間体としてきた8員環中間体の存在を実験的に証明し,エネルギー解析で,このものの安定性についても検討した。 2.生成物の10員環生成物のX線構造解析によってそのコンフォメーションを明かとした。 3.本反応を用いてYellow Scale Pheromone4の立体選択的合成を行い4の高能率合成を達成した。これにより有機合成への応用性を実証した。
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