研究概要 |
コアタンパク質上に,共通の橋渡し構造を介して生合成される各種の硫酸化グリコサミノグリカン(コンドロイチン硫酸,デルマタン硫酸,ヘパリン,ヘパラン硫酸)の種類がどのような生合成のメカニズムで決定されているのかを解明することを長期的な目的として,各種のプロテオグリカン由来の糖ータンパク質橋渡し領域の構造解析を行った結果,以下のような諸点を明らかにすることができた。 1。サメ軟骨由来のコンドロイチン-6-硫酸プロテオグリカンから糖ータンパク質結合領域由来の13種類のヘキササッカライドアルディトールを単離し、組成分析,酵素消化,HPLC,^1H-NMRスペクトルの解析などによって構造解析したところ,我々がすでに見い出したラット軟骨肉腫やクジラ軟骨由来のコンドロイチン-4-硫酸プロテオグリカンの成分とは異るガラクトース-6-硫酸構造を見い出すことができた。また,キシロース-2-リン酸を含む成分も見い出した。これらの珍しい構造と硫酸化グリコサミノグリカンの仕分け合成のメカニズムの関係を今後の研究課題とする。 2。ブタ小腸ヘパリンからも,糖ータンパク質結合領域由来の2種類のグリコセリンを単離した。主成分は既知の構造であったが,他の成分はGlcNAcの6位の水酸基が硫酸化されたヘキササッカライドセリンで,新しい構造であった。これは,同系統のグリコサミノグリカンであるヘパラン硫酸の硫酸化されていない結合領域周辺の構造とは対照的であり,生合成のメカニズムの差を反影していると考えられる。
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