関節病変における関節滑膜細胞の意義-培養細胞より分泌されるエンドセリン,種々酵素

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04807169
• 研究機関: 福島県立医科大学
• 研究代表者: 吉田 浩 福島県立医科大学, 医学部・検査部, 教授 (90045683)
• 研究分担者: 大原 守弘 福島県立医科大学, 医学部・第2内科, 講師 (60128543) ; 三浦 裕 福島県立医科大学, 医学部・検査部, 助教授 (50045647)
• キーワード: エンドセリン / ALP / LDH / 関節滑膜細胞 / 慢性関節リウマチ

研究概要

慢性関節リウマチ(RA)患者滑膜より樹立した細胞株のなかで、マクロファージ様A型細胞がエンドセリン(ET)を分泌することを見出した。さらにアルカリフォスファターゼ(ALP)と乳酸脱水素酵素(LDH)をも分泌することを見出した。線維芽様細胞はいずれも分泌しない。ETの測定は抗ET1抗体を用いたRIA法により行った。ET分泌は培養液変換後、24時間で最高に達した。逆相HPLCによる分析でET1が主成分で、bigET1も少量ながら見出された。以上からA型滑膜細胞がETを分泌することが明らかとなった。
A型滑膜細胞培養上清中のALPは電気泳動上、α1〜β域に広く分布し、ノイラミニダーゼ処理で陰極方向に移動した。耐熱性であり、56℃10分加熱にて2%のみ、56℃30分加熱で18%の減少をみた。L-フェニルアラニンでは軽度の阻害がみられた。小麦由来レクチンとの親和性は約90%。以上のごとく、既知のALPとは性状を異にしており、新しい亜型と考えられた。ヒト、特にRA患者血清と関節液中での本ALPの存在を検索したが、明らかな増加例は認められなかった。
滑膜細胞培養液中のLDH活性はA型細胞に由来する。そのアイソザイムはLDH4〜5が主体であった。関節滑液中LDHの主体がLDH4〜5であることや滑膜組織抽出液中のLDHの主体がLDH4-5であることが知られていたが、その産生はA型滑膜細胞によることが見出された。

研究成果

• [文献書誌] Yoshida,H.他: "Endothelin production by type-A synoviocytes" 7th APLAR Congress of Rheumatology. 22- (1992)
• [文献書誌] 本田 健次他: "ヒトRA関節滑膜細胞培養上清中のALP" 臨床病理. 40. 72- (1992)
• [文献書誌] Yoshida,H.他: "Production of eudothelin and ALP by type-A synoviocytes" 17th WASP.(1993)
• [文献書誌] Yoshida,H.他: "False positive reaction of heat-inactivated sera in enzyme-linked immunosorbent assay for antibody to hepatitis C virus." Fukushima J.Med.Sci.38. 35-41 (1992)
• [文献書誌] Yoshida,S他: "Changes of conformational disorder in membrane lipids in the pulmonary artery of monocrotaline-injected rats detected in situ by Fourser transform infrared spectroscopy." Vibrat.Spectroscopy. 3. 271-276 (1992)
• [文献書誌] Takeshita,M.他: "Analysis of factors in hypertension:Cange of membrane fluidity in the arteries spontaneously hypertensive and monocrotaline-injected rats." Clin.Exp.Pharm.& Physiol.19. 33-35 (1992)
• [文献書誌] 吉田 浩他: "培養関節滑膜細胞よりのエンドセリン産生" 混合性結合組織病研究班報告書, 3 (1992)