研究概要 |
1. 薬理学的インスリン刺激分質であるイオノマイシン,あるいはカフェイン等によるインスリンの分泌は主に第1相分泌のみに関与することが判った。 しかもこれらの反応は基礎ブドウ糖濃度に大きく影響されており、ブドウ糖濃度2.8mM以下では、その作用は発現しない。 2,^<45>Ca^<2+>を用いたCa^<2+>effluxの実験では、生理的インスリン分泌刺激物質であるアルギニンは、Ca^<2+>effluxを全くもたらさない。 これは基礎ブドウ糖濃度を上昇させても同じであった。 ブドウ糖刺激によるCa^<2+>effluxは充分に惹起されるので、両刺激は全く異なる〓序でインスリン分泌を引き起こす事が判明した。 BBラットを用いた糖尿病モデル実験では糖尿病発症初日のインスリン分泌反応において、ブドウ糖とアルギニン刺激では全く異なる事を既に報告しているので、(Proc Natl Acad Sci USA1886), これを裏づけるとともに、この差異の解明を行っている。 3.アルギニンバゾプレシン(AVP)やアンギオテンシンII(AgII)は、細胞内遊離カルシュウムを増加させ、〓およびラ氏島潅流にて、インスリン分泌を惹起させた。 これらのインスリン分泌は基礎ブドウ糖濃度に依存していた。 また、AVPの作用は、V_1-autagonistにて強く阻害され、V_2-Antagonistでは阻害されないので、を主に介するものでありc-AMPは介さない事が判った。 4.高濃度のブドウ糖の刺激によって、細胞内カルシュウム濃度の上昇がもたらされ、さらにH_2O_2(過酸化水素)の発生がもたらされる。このH_2O_2と〓ラ氏島のDNA損傷とは、密接に関係しているので、高濃度ブドウ糖とDNA損傷(糖尿病発症)は一厘のものとして考えられるようになった。
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