1.細胞内Ca^サ動態とインスリン分泌反応の多様性:インスリン刺激物質であるアルギニンは^<45>Ca effluxを膵ラ氏島にもたらせずにインスリン分泌を惹起する事は証明されたが(投稿中)、これ以上の新知見は得られなかった。現在単離したB細胞を用いる方法を検討中である。 2.インスリン分泌反応の多様性と一酸化窒素(NO):重要な細胞内情報伝達物質である一酸化窒素(NO)とインスリン分泌との関連性を検討した。NO測定は従来のgriess法ではなく約100倍の感度をもつDNA法にて、Nitute測定にてNO産生量を推定した。NOの基質であるアルギニンは、膵潅流系では潅流圧を上昇させる事から、NOによる血管拡張(ラ氏島内外の)が、インスリン分泌の多様性を説明できるものと推定したが、膵潅流系でのNOの関与は全く否定的であった。同様に、血管収縮をもたらすAVP(インスリン分泌をもたらす事は既に報告)も、NOとは全く無関係にインスリン分泌をもたらす事がわかった(投稿中)。 3.DNA損傷とNO:NOのもう一つの重要な作用に、細胞の酸化あるいはアポトーシスがある事が知られている。我々は数年前にH_2O_2(フリーラジカルと同様に考える)がDNA損傷をもたらす事を報告したが、DNA電気泳動では直接証明できなかった。アポトーシスに関する最近の知見をふまえ、NO(あるいは催糖尿病薬)とアポトーシスとの関連性を検討した。STZ(催糖尿病薬)がアポトーシスをもたらす(膵ラ氏島)事を証明したが、NO産生といかなる関連があるのか検討中である。さらに進展して、高血糖自体が、NO、apoptosisといかなる関連をもつのか(いわゆるglucose toxicity)、膵ラ氏島細胞、単離B細胞にて検討中である(一部は投稿準備中)。今後はさらにNO合成酵素(NOS)の検討も行う予定である。
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