1.sialosyl-Lewis^×について。 血液細胞におけるsialosyl-Lewis^×の発現を検討した。sialosyl-Lewis^×は、健常ヒト骨髄CD34陽性細胞には発現せず、顆粒球単球前駆細胞、好中球や単球に発現していた。リンパ系では、健常ヒト骨髄CD10陽性のB前駆細胞に一過性に発現していた。白血病細胞での検討では、sialosyl-Lewis^×は、骨髄性およびリンパ性白血病細胞に高率に発現していた。さらに、CD34陽性の骨髄性白血病細胞にもsialosyl-Lewis^×の発現が認められたことから、白血病細胞ではCD34抗原が過剰発現していると考えられた。以上から、寛解期の白血病患者骨髄から残存している白血病細胞を抗sialosyl-Lewis^×抗体で除去し、この骨髄細胞を用いて自家骨髄移植が可能と判断された。 2.sialosyl-Tnについて。 血液細胞におけるglycophorin Aのcriptic antigenであるsialosyl-Tnの発現を検討した。sialosyl-Tnは、CD34陽性細胞、BFU-Eおよび赤血球には発現せず、CFU-Eから赤芽球までのerythroid cellに発現していた。白血病細胞の検討では、sialosyl-Tnは赤白血病細胞(M6)に高率に発現していた。一方、リンパ系では、sialosyl-Tnは成熟B細胞と、成熟T細胞の一部に発現していた。骨髄CD10陽性のB前駆細胞には発現せず、急性リンパ性白血病細胞には発現しないことから、sialosyl-Tnは、成熟リンパ球にのみ発現すると考えられた。sialosyl-Tnの本態は不明だが、CD22に発現パターンが類似していることが示唆された。
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