非平衡プラズマのスペクトル線形成

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04808003
• 研究機関: 核融合科学研究所
• 研究代表者: 加藤 隆子 核融合科学研究所, 助教授 (20115546)
• 研究分担者: 藤本 孝 京都大学, 工学部, 教授 (90026203) ; 政井 邦昭 核融合科学研究所, 助手 (80181626)
• キーワード: 非平衡電離 / X線スペクトル / プラズマ診断 / 原子過程 / 非熱的電子

研究概要

実験室プラズマでは、輸送、対流等の効果によりプラズマ中でのイオン比は電離平衡値とはずれた値を示す場合が多い。又、太陽フレアーのように急激にプラズマが加熱される場合も電離平衡になっていない。このような非平衡電離プラズマから発生するスペクトル線は電離平衡プラズマからのスペクトルとは異っている。非平衡電離プラズマは電離過程が主要な電離プラズマと再結合過程が主要な再結合プラズマとに分類される。電離プラズマではイオンの電離度に比べて電子温度が高いために、内殼電離、内殼励起が重要となる。二電子性再結合によるサティライト線と共鳴線との強度比から電子温度を推定することができる。又、電離プラズマでは非熱的電子がイオン化とスペクトル線に影響を及ぼす場合がある。再結合プラズマではイオンの電離度に比べて電子温度が低く、輻射再結合又は電荷移行再結合による再結合線が重要となる。スペクトル線解析には、このように様々な原子過程が必要であり、定量的に調べるには原子データの評価をする必要がある。
本年度はTFTRトカマクプラズマから測定されたスペクトル線より非熱的電子の割合を調べた。又人工衛星より観測された太陽フレアーからのX線スペクトルより電離非平衡にあることを見いだした。又プラズマ周辺の診断の為に炭素原子からのスペクトル線強度の研究を行った。スペクトル診断に必要な原子データの評価を行った。

研究成果

• [文献書誌] K.Ida: "Line-Emission Cross Sections for the Charge-exchange Reaction between Fully Stripped Carbon and Atomic Hydrogen in Tokamak Plasma" Physics Letters A. 166. 35-39 (1992)
• [文献書誌] T.Kato: "Parametric Representation of electron impact excitation and ionization cross-sections for helium atoms," Nuclear Fusion Supplement. 3. 33-39 (1992)
• [文献書誌] T.Fujimoto: "Atomic Processes Relevant to Polarization Plasma Spectroscopy" NIFS-DATA-16. (1992)
• [文献書誌] T.Kato: "Compilation of Excitation Cross Sections for He Atoms by Electron Impact" NIFS-DATA-15. (1992)
• [文献書誌] T.Kato: "Electron impact excitation cross sections and effective collision strengths of N atom and N-like ions-Review of available data and recommendations" NIFS-DATA-18. (1992)
• [文献書誌] F.J.de Heer: "Recommended data base for electron impact excitation and ionization of helium atoms," INDC(NDS)-253/N2. (1992)