研究課題/領域番号 |
04808011
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
永村 一雄 大阪市立大学, 生活科学部, 講師 (60138972)
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研究分担者 |
深井 一夫 横浜国立大学, 工学部, 助手 (60156734)
綿貫 茂喜 大阪市立大学, 生活科学部, 助教授 (00158677)
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キーワード | 心理量 / 生理量 / 温熱環境 / 個人差 / ミニマクス推定 / ロバスト推定 / ε混合分布 / 低温やけど |
研究概要 |
温熱指標と心理量との整合性を検討する上で、既存の統計量の応用に問題のある申告値の分布のバラツキを、個人差の分布を考慮することで低減する方法を検討した。具体的には、従来は属性として判別していなかった温熱的体質差である「暑がり」「寒がり」や、「汗かき」といった指標を手がかりに、申告分布をこれらの個人差属性で判別することを考えた。全体の分布は、既知分布と未知の特異分布の加算型とみなすHuberのε混合分布モデルで表現する。これによれば、申告分布などの異常値と見なされやすい、とびはなれた申告をも包含できる分布を構成できる。このとき既知分布と特異分布の混合比率が問題になりやすいが、ロバスト推定として知られているミニマスク推定を併せて導入する。分布判別のための指標、すなわち推定量の良否は、漸近分散で見積もることにすると、ミニマスク推定の導入は、推定性能を表す漸近分散が少々劣化してもかまわないから、分布が既存分布よりずれても、極端に推定性能が増大しないように、測定値にフィルタをかける手段を与えたことになる。以上の考え方は、異常値の安易な切り捨てにつながりやすい、従来の外れ値の推定と対局に位置する対策になっている。 一方、本研究で得られた諸モデルを現実の生活で検証し、実際の居住環境が心理的にみたとき、どの程度の生理的安全性を確保しているかといった具体的シミュレーションを行った。その結果、床暖房などの場合で、高齢者などの生理的弱者が、心理と生理の不整合から、ときには低温やけどを起こしうる環境にあることなどの重要かつ問題度の大きい知見が得られ、高齢者などへの対象を絞り込んだ安全対策のための新たな研究の必要性を確認した。
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