研究概要 |
本研究は平成4年と5年度の2ヶ年計画で進めている. 平成4年度の計画では,「食品中のアルミニウムの定量」を予定しており,3/31現在国産野菜12種類についての定量を終えている.なお,数種の試料についても調製中であるが,凍結乾燥に長時間を要しやや計画が遅れている. これまでの結果としては,野菜類のアルミニウム含量は根菜類よりも葉菜類に多く,また野菜の部位によっても含量が大きく異なることがわかった. 定量にあたっての前処理方法は,従来からのオープン型湿式加熱分解と,今回試みたマイクロ波湿式分解を比較したところ,定量値に大きな差は見られなかった.従って前処理にマイクロ波加熱分解を用いることは,試料の汚染が少ないということと処理時間が短縮できるという点から有効な方法と考えられた. 以上の二点がこれまでに得られた成果であるが,平成5年度はこれらの結果をもとにして,「食品中のアルミニウムイオン量測定」実験を進行させる. イオン量の測定には当初EDTA法を用いる予定であったが,測定精度に多少問題が生じたため,EDTA法に併行してクロムアズロール法および,エリオクロムシアニン法を用いるべく検討している.クロムアズロール試薬を用いた比色測定については、他金属の妨害や有機酸の干渉などの点についての基礎実験が終了したところである.今後は最も精度の高い定量方法を用い,各種の野菜や果物中のイオン量測定を行い,アルミニウムの体内吸収の可能性について検討したいと考えている。
|