研究概要 |
本研究は食品中のアルミニウム量とそのイオン化率を調べたものである。平成4・5年の2カ年計画で行ったが,当初は大部分の時間を試料調製およびアルミニウムとアルミニウムイオンの定量方法の検討に費やし,平成5年度にそれらの最終結果を得るに至った。 まず野菜13種の無水物1gに含まれるアルミニウムは,ホウレン草が531mug,小松菜が210mug,春菊が117mugと特に多く,次いで玉葱が19mug,大根が13mug,ブロッコリー10mugであった。キャベツ,セロリ,カリフラワー,きゅうり,人参,かぼちゃ,レンコンなどには5mug前後含まれていた。果実類6種では、キーウィが22mugとやや高い値を示したが,リンゴ,柿,いちご,メロン,すいかのアルミニウム含有量は無水物1g中に6mug前後であった。また,海藻類のヒジキは210mugと高い値を示したが,きのこ類のしいたけ,しめじは各々8mug,6mugで果実類と大きな差はなかった。 なお,これらの無水物試料をpH2の水溶液中に37℃で1または3時間保持した後,クロムアズロール法でアルミニウムイオンを定量し,全アルミニウム量に対するイオン化率を求めたところ,その割合は10〜100%とそれぞれに大きく異なることがわかった。 次に,主として食品包装に使用される市販アルミニウム箔を用いて,アルミニウム溶出量とそれらのイオン化率を調べた。1cm×2cm,約9mgのアルミニウム箔を5mlの各水溶液に浸漬し、30分間沸騰させ,アルミニウム溶出量を測定したところ,0.1M塩酸,0.1M酢酸,0.2Mクエン酸,0.1Mクエン酸,0.2M塩化ナトリウム水溶液の順に多かった。またそのイオン量は,0.1M塩酸,0.1M酢酸,0.1Mクエン酸,0.2M塩化ナトリウム,0.2Mクエン酸水溶液の順に多く,イオン化率はクエン酸の場合かなり低かった。
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