運動教材の中でも、特に学習者にも指導者にも敬遠されがちな「器械運動」学習を効率よく、しかも安全に取り組むための学習指導プログラムの一つとしての、コンピュータやロボットを用いたシミュレーション指導の効果を検討した。 本研究における学習指導プログラムは、いずれもこれまでにスポーツバイオメカニクス的な研究によって得られた理論を学習者に認知させ、それを実践に応用させることにある。 本年度は、コンピュータによるシミュレーションならびにロボットによるシミュレーションを用いて小学生に「鉄棒運動」における以下のような過程についての検討を行った。 1. 学習すべき運動である「鉄棒の腕立て前転・後転」の力学的な理論を理科で学習したテコの考え方と関連づけて学習させる。 2. 学習すべき運動の力学的な理論を深めるために、コンピュータによるシミュレーションやロボットによるシミュレーションを用いて運動の疑似体験させる。 3. シミュレーションを用いて行った運動の疑似体験を、実際の動作学習に生かせるような環境を設定し、ドリル学習を行わせる。 このような、コンピュータやロボットを用いたシミュレーション学習指導プログラムを用いた結果、学習者の運動に対する認知レベルや、技能獲得のための取り組みを含めた学習意欲の向上がみられた。
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