1.制限酵素Eco RIの宿主大腸菌での大量調製には、2種類の発現プラスミドのcotransfectionによる形質転換が適している事が分かった。即ち、1つのプラスミドにはEco RIの遺伝子の上流に温度感受性のレプレッサーの結合部位を導入し、もう1つのプラスミドにこのレプレッサーの遺伝子とEco RIメチラーゼの遺伝子を持たせる。そうすると、30℃ではレプレッサーが活性型なのでEco RIの発現は抑えられ大腸菌は増殖すれが42℃にすると、レプレッサーが遊離してEco RIが生産されるようになる。この方法だと大量のEco RI酵素を得ることができる。但し、Eco RI遺伝子をもつプラスミドを単独に大量に調製する方法を確立していない。 2.Eco RIの変異体を2種類ほど作成したが、基質特異性は野生型と同じだった。エンドヌクレアーゼとしての活性を示す領域と基質特異性(パリンドローム配列の認識)を表す領域とが存在するだろうと考えて、今までに報告された11種の制限酵素のアミノ酸配列を比較してターゲットを絞ろうとしている。またX線回折より明らかにされた構造も参考にして検討している。 3.新たに制限酵素Hind IIIの精製とアミノ酸配列(一部)の決定をしようとしている。これらの研究をつうじて、(1)Hind IIIの酵素的性質の研究、(2)遺伝子の単離、(3)宿主大腸菌での大量発現、そして(4)酵素の改変による特異性の変更、などを計画している。
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