一般に競合法より非競合法を用いることにより高感度化が可能であるため、ペプチドを測定するための非競合法の原理を創案すると同時に、ペプチドのビオチン化により非競合法の原理を次のように具体化した。N-hydroxysuccinimidobiotinを用いて直接あるいは間接的にビオチン化を行う。ビオチン化ペプチドを抗ペプチドIgG不溶化ポリスチレンボールの上にトラっプし、ポリスチレンボールを洗浄した後、酸性条件下でビオチン化ペプチドを溶出する。溶出液を中和した後、酵素標識抗ペプチドFab'を反応させ、酵素標識抗ペプチドFab'とビオチン化ペプチドの複合体をストレプトアビジン不溶化ポリスチレンボールの上にトラップする。最後のポリスチレンボールを洗浄した後、ポリスチレンボールに結合した酵素活性を測定する。その結果、一部のペプチドについては競合法と比べ約100倍高感度化され10amolのペプチドの測定が可能となった。これは、酵素標識抗ペプチド抗体のストレプトアビジン不溶化ポリスチレンボールへの非特異吸着が十分低下したためである。しかし、必ずしも充分低下せず、高感度化が困難な場合のあることもわかった。そこで、測定操作の各ステップに用いる緩衝液中に加えるたんぱく質として、従来用いてきたウシ血清アルブミンの代りにセラチンを用いた。その結果、ストレプトアビジン不溶化ポリスチレンボールの調製時にのみゼラチンを使うことにより、問題の非特異吸着が充分低下し、高感度化できる場合のあることがわかった。7-MSHがその例である。しかし、これですべてのハプテンの測定を高感度化できるわけではないこともわかった。殊にストレプトアビジン不溶化ポリスチレンボールの調製法のうち、非特異ウサギIgGのビオチン化方法に問題のある可能性が浮上した。現在、非特異ウサギIgGおよびウシ血清アルブミンを種々の方法でビオチン化して、いずれが有効か検討中である。
|