研究概要 |
1987年、ハプテンを非競合法により高感度で測定する一般的原理を創案し、ハプテンのビオチン化によりこの原理を具体化した。つまり、N末端のみにアミノ基を有するペプチドをビオチン化し、酵素標識抗ペプチド抗体、ストレプトアビジン不溶化固相などを用いてattomole量のペプチドの測定を可能にした。これを更に発展させるため、次のような研究を進めた。1.ヒスチジン残基チロシン残基などを有するペプチドをビオチン化して測定するために、次の基礎実験結果を得た。(1)血漿などのサンプル中には、測定すべきペプチド中のヒスジン残基、チロシン残基の他にジアゾ化されうる多量のアミノ基、アルギニン(残基)が共存するが、この場合でも、ヒスチジン残基、チロシン残基が優先的にジアゾ化されることがわかった。(2)ビオチンは、ジアゾ化反応によりアビジンとの結合能を失わないことがわかった。2.ビオチン化反応後の不要なビオチン化合物を除去するために、ビオチン化ペプチドを2,4-ジニトロフェニル化酵素標識抗ペプチドFab'と反応させ、抗2,4-ジニトロフェニル基IgG不溶化ポリスチレンボールにトラップ、洗浄後溶出して、ストレプトアビジン不溶化ポリスチレンボールにトラップする方法を試みた結果、用いたN-ヒドロキシサクシニミドビオチンにより2,4-ジニトロフェニル化酵素標識抗ペプチドFab'がビオチン化されないためには、ビオチン化反応後長時間放置する必要のあることがわかった。3.従来用いてきたウシ血清アルブミンの代りにゼラチンを用いて、ストレプトアビジン不溶化ポリスチレンボールを調製することにより、酵素標識抗ペプチドFab'のストレプトアビジン不溶化ポリスチレンボールへの非特異吸着を低下させ、一層の高感度化が達成できる場合のあることがわかった。しかし、これですべてのハプテンの測定の高感度化が可能になるわけではないこともわかり、さらに検討中である。
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