研究概要 |
教員養成大学学生の地理教育体験を調査するため、質問紙を作成し、愛知教育大学並びに奈良教育大学学生、計500名を対象にアンケート調査を実施した。その結果、現在までに集計・分析した中では、極めて浅薄な地理教育体験しか持ち合わせていないことが判明しつつある。 アンケートの項目としては、修学旅行や野外地理教育で過去にどのような地理学習を経験したのか、地図学習や地理学習に対する学習の好嫌度はどうか、視聴覚教育の体験はあるか、日本や世界の地理知識の正確さ等について調べたものであるが、現時点までに分析した結果では、それらの体験的記憶や学習経験の定着は悪く、日本の初等・中等地理教育の抱える根の深い問題点が明らかになりつつある。 一方、現場教員の地理教材指導状況に関する調査(郵送による)では愛知・奈良両県の小・中・高校、計900校に対し、概略的な調査を3月に実施した。現在、漸次アンケートが返送されてきており、次年度にそれらを集計する予定である。 また、実際の教育現場の見学・視察も行った。視聴覚教育で長年の実績のある東京の学校法人郁文館高校、及び国際理解科などのユニークな教材をカリキュラムに載せ、帰国子女も入学させている東京都立国際高校の二校、それに小学校低学年の新教科、生活科の先進的取り組みの大阪教育大学附属天王寺小学校、計三校を実地に調査した。その結果、前二校においては、地理学習用のソフト(VTRテープ,地図類)が極めて充実していることがわかった。後者の天王寺小学校においても、児童に地誌的知識を修得させるための府県調べ帖の作成や地球儀学習に積極的に取り組んでいることがわかった。地理教育は、さらに環境教育とも関連が深いので、環境教育に関る施設・文献資料についても調査を行う予定である。
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