工芸・工作教育の木工作・木工芸を真に美的な造形活動として高めるために、木材を染色処理してその利用法について研究した。 前年度に染色処理したリョウブ、ソヨゴ等の広葉樹及びスギ・ヒノキ等の針葉樹(間伐材)を利用して教材としての可能性をさぐるため、教材作品としての椅子・テーブル、盆・皿、装身具、オーナメント、時計等を試作したが、教材導入をするためには以下のことが重要であるとの知見を得た。 1.加工に際しては、樹種によって異なる特徴ある染色形態を意識して表現すること。(特に、広葉樹は均一染色型、帯状染色型、同心円状染色型、芯材を除く同心円状染色型、スポット状染色型の5つの型がある) 2.染色材は枝葉まで染色されており、特に枝部は樹幹部と同様の染色形態を示すことや自然な曲線を描くため、その利用は学年を問わず有効な造形教材となる。 3.板材としては、そのままでも有効であるが、小径木広葉樹や帯状染色型であるスギ・ヒノキは角材として木取りをし、それらを寄木または集成して市松模様や矢羽根、青海波模様といった基本的板材として使用すれば無限の展開が期待できる造形材料となる。
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