本研究では、機能的言語の成立していない、あるいは少ない発達障害児を対象に、その認知機能の開発と統合化を促進するための条件を、刺激・反応等価性の成立とゆう観点から明らかにすることを目的とした。その結果、以下のことが明らかになった。 1.無発後の自閉症児において、対称律、推移律、等価律、排他律を含む刺激等価性が成立した。また、語順反応を含む条件性弁別を訓練することで、記号の配置の構造をもった「文法」の成立と般化がみられた。 2.重度精神遅滞をともなう聴覚障害児に、文字刺激カードとキーボード上の文字刺激との同一見本合わせ訓練、ならびに、特定の絵カードに対する単語カード選択を訓練し、その後、絵カードが呈示された際に、文字への継時的反応による単語構成が成立するかを評定した。すなわち、反応等価性の成立を検討した。その結果、各訓練によって学習は可能となったが、反応等価性が成立するためには、各単語に対応する継時的反応そのものを確立しておく必要があることが示された。 3.1語文期、2語文期の発達障害児を対象に、動画刺激を用いて、それぞれ2語文、多語文が成立し、それが般化するための条件を分析した。その結果、以下のことが、その要件であることが示された。(1)人物、対象物、動作などの、動画の個々の構成要素について、「注意の配分」にもとづいた刺激性制御が成立すること、(2)それらに対応する言語反応が成立し、単語の適切な配列をおこなうこと、(3)動画刺激内の各構成要素について、助詞などを機能化させること。
|