平成5年度における本研究の研究実績の概要は、以下のようにまとめることができる。 (1)米、英、仏、独、伊等を中心とする欧米諸外国における選挙制度、議員定数配分方法を調査検討し、それらの歴史的変遷の推移と配分方法の系統学側面を整理した。 (2)議員定数配分問題を数理計画理論における離散的最適化問題として定式化し、最適化問題の解法を実際にプログラム化した。さらにはこれらの問題をパーソナルコンピュータを用いて解き、最適解の特性を分析した。 (3)これまでに提起された代表的な議員定数配分方法をプログラム化し、国勢調査に基づく実際のわが国の衆議院、参議院選挙区データを用いて定数配分値を試算した。 (4)各種議員定数配分方法による定数配分の特性について、特に選挙区の大小に関わる"有利性"の問題を中心に比較分析を行った。 (5)議員定数配分方法によって得られた配分解について、全域的最適化問題の最適解としての解釈を与え、それらに対する「公正」という側面からの評価基準を詳細に検討した。さらに配分解の特性としての総議員数特性、安定性、整合性等について分析を加えた。 (6)「公正」、「平等」という側面から考えた場合、わが国に適用すべき望ましい選挙区議員定数配分方法について考察した。 (7)小選挙区制と比例代表制について、選挙制度としての問題点を数理的観点から分析、整理した。
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