わが国の勤労者の年間労働時間は欧米に比べて長く、残業も多い。勤労者の中には、健康面を顧みる余裕もなく、残業を拒否できない人も多く、極端な場合には健康上に重大な危機がもたらされている場合がある。このような状況を解消するために、各企業体は、仕事量を科学的、定量的に把握し、各従業員に適切な仕事量を配分しなければならない。本研究は、このような観点から、残業時間を最小化するように、各勤労者が各期間において遂行すべき仕事量を決定する基本的手続きについて解析を行った。 本年度は、仕事の処理時間の不確実性を考慮して、企業体が処理しなければならない仕事を、各従業員に適切に割り当てるための計画手法について研究を行った。仕事の処理時間は、多くの場合、確実に予測することが難しい。しかし、仕事には納期があり、納期までに確実に仕事を完成しなければならない。つまり仕事の担当者は、仕事が予定通り進まず納期を満たせない可能性があるにもかかわらず、納期は厳守しなければならないという一種の精神的プレッシャーの基で仕事を進めることになる。このような状況で、多くの担当者は納期が満足される可能性を高めるため、必要な残業を行うことになる。そこで、処理時間の不確実性と残業時間の関係について明らかにし、複数の仕事を作業者に割り当てる場合に、作業者全員の残業時間和を最小にする仕事の割当法を作成した。また、各従業員の残業時間と年次休暇取得が仕事の完成時期に及ぼす影響を分析し、その成果を公表した。
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