研究概要 |
メタノール燃料は自動車ガソリン等の代替燃料として、また環境調和型エネルギーとして注目されている。メタノール燃料の燃焼排気ガス組成と生成割合、特にホルハアルデヒド等の生体に有害な微量成分の生成挙動については必ずしも明らかでなく、また燃焼排気ガス中の気相ラジカルの生成についてはほとんど知られていない。 本研究では燃焼反応実験装置KRS-RG6097型(モデル装置)と実用エンジンを用いて、メタノール燃料を種々の条件下で燃焼させて得られる結果と考察から、燃焼排気ガスの特性と生成機構を解明したいとして、初年度は実用エンジンを用いた結果について報告した。 本年度はモデル装置を用いた結果について報告する。すなわち、管状電気炉中に内径2.8cmphi、長さ60cmの石英燃焼管を挿入し、炉温を熱電対に接続した温度コントローラーで所定の温度に自動調節した。メタノール燃料と種々の空燃比(理論空燃比を基準とし、これと同組成の空燃比を当量比PHI=1とする)での酸素と窒素の混合気を供給流入させて燃焼させた。燃焼排気ガスの成分分析はガスクロマトグラフで、排気中の気相ラジカルは0.1MのPBN(alpha-フェニル-N-t-ブチルニトロン)/lベンゼン溶液にバブルさせ、スピントラップして採取後ESRスペクトロメータでスペクトル測定を行って解析した。 気相ラジカルは炉温(470,500,600,700℃)と当量比(PHI=0.5,0.7,1.0,1.5)を変化させてみると、500℃のときPHIの増大に伴い、排気ガス成分の傾向と相応してほぼ漸増しているが、これ以外の温度ではPHI=0.7のとき最大濃度を示した。また、この気相ラジカルは実用エンジンでの結果と同じアルコキシラジカルとアルキルラジカルであり、これからはモデル装置と実用エンジンでの気相ラジカルの生成挙動はほぼ同じであると結論された。
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