本年度の研究実施計画では、水利用の実態調査をおこない、そのデータ整理をすることであった。「ロードサーベイメータ設置による個体の水利用調査」では、測定機器の導入が遅れ、最初、他の行政機関からの借用によって調査を実施したため、詳細実態調査はほぼ予定数実施できたものの、シナリオによる利用実験はできなかった。詳細実態調査は、メータ設置に各家庭の全面的な協力が必要なため、交渉に時間を要し調査の進行が遅れた。また、「料金調定用既設メータによる水利用調査」については、メータの最小単位が大きいため、1時間単位とならざるをえなかったが、予定の測定数は確保できた。前者の調査からは、従来ほとんど把握されていなかった使用目的別の水量が、調査対象の属性とともに得られ、今後の水利用機器の普及と生活行動の変化に対応した需要予測と水道供給政策実施のための解析に必要な貴重な資料となった。また、後者の調査からは、利用者単位での需要の時間変化特性が得られ、需要変動を考慮した施設規模の決定や配水管理に関する貴重な資料となった。 「データ解析」については、全調査結果をコンピュータソフト「ロータス」のデータベースとしたが、解析は継続中で結果のまとめは次年度としたい。また、「開発途上国の実態整理」は、過去に実施したタンザニアやトリニダッド・トバゴの調査結果を整理したが、本年度は新たな現地調査を実施しなかったので、追加資料はなかった。次年度には、収集の機会があると思われるので追加検討する予定である。
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