1、T細胞活性化にともなうGM-CSF遺伝子の活性化に必要な領域として転写開始点より-41塩基(bp)から-49bpの領域が必要であることが示され、CLEOと命名した。 2、Jurkat細胞核抽出液を用いたIn Vitro転写系においてもCLEOが転写活性に必要であることが示された。ゲルシフトアッセイにより、-42bpから-49bpの領域に結合する蛋白質(NF-CLEOa)と-46bpから-53bpの領域に結合する蛋白質(NF-CLEOb)を同定した。これらの蛋白質の完全精製には至っていない。T細胞の活性化に伴い、NF-CLEObは増大するが、NF-CLEOaの発現量は変化しない。 3、T細胞で誘導される他のリンフォカインであるIL-4とIL-5や、サイトカインであるG-CSFのプロモーター領域にもCLEOと相同性を持つ配列が見いだされた。さらに転写因子Ets1およびEts2の結合配列として見いだされた、ポリオーマウイルス、MSV、T細胞受容体α鎖のエンハンサー内の配列とも相同性を持つ。これらの配列の中で、ゲルシフトアッセイにより、IL-4、IL-5およびポリオーマの配列には、NF-CLEOa及びNF-CLEObが結合することが示され、NF-CLEOa及びbがT細胞活性化の際のリンフォカインの発現誘導に共通に働く転写因子であることが示唆された。Ets familyの蛋白質の共通部分を認識する抗体はCLEOa及びCLEObのDNAに対する結合を阻害することからEts familyの蛋白質であると考えられる。ヒトEts1およびEts2をCMVプロモーターにつないだプラスミドとGM-CSFプロモーターにCATをつないだプラスミドをJurkatなどのT細胞に導入したが、残念ながらどちらの転写因子もプロモーターへの影響は見られなかった。 4.T細胞ハイブリドーマ2B4にEts1遺伝子を導入しstable transformantを樹立したが、活性化に伴うリンフォカインの産生には変化が見られなかった。今後Ets familyの他の転写因子を用いて、同様の実験をする必要がある。またNF-CLEOa及びbの精製とcDNAクローニングをおこなう。
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