研究概要 |
マウスcDNAライブラリーから得られた2種のcdk2様クローンを解析した。その結果、一つはヒトcdk2と98%のホモロジーのあるマウスcdk2であり、もう一方はこのcdk2cDNA内に144塩基対が挿入された分子、cdk2'であった。またゲノミックDNAを単離しその解析からマウスcdk2は7つのエクソンから構成されており、cdk2'同じ遺伝子のcdk2でイントロンの部分が一つエクソンになったクローンであった。このcdk2のゲノミッククローンの5'上流領域を検索するとTATAボックスは見あたらず、4個のsp1結合配列が存在した。さらに3個並んだAP1結合配列が観察された。cdk2はG0期の3T3を血清で刺激するとG1期で発現するが、このようなG1期で発現する遺伝子によく見受けられるE2F結合配列は+2,000塩基までには存在しなかった。このことからこの遺伝子のG1期での発現はc-Fos/Junを介したAp1配列に依存している可能性が高い。一方cdk2の細胞周期内での活性変動は細胞質ではcdc2キナーゼより活性が高く、その活性のピークはG2期にあり、核ではS期からM期にかけて活性が高い。このことからcdk2は細胞周期のS期からG2期の過程を制御しているものと考えられた。
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