研究概要 |
平成4年度研究実績報告書において 我々は心房性Na利尿ホルモン(ANF)遺伝子の甲状腺ホルモン応答領域(TRE)をANF遺伝子の‐638bp内に存在する事を報告してきた。ExonucleaseIIIを用いて‐638bpをさらに下流方向に短縮する事により‐454bp,‐258bp,‐64bpまでの上流域をChloramphenicol acetyltransferase(CAT)reporter geneに連結する事に成功した。これらのCAT constructをラットT3alphaレセプター(rTR)を安定して発現するCos細胞に導入しTREは‐258bp〜‐64bp以内に存在する事を明らかにした。 同定したTRE(‐258〜‐64)をプローブとしてゲル移動度シフト法を行ないrTRを発現するCos細胞の核蛋白抽出物を用いて結合蛋白の存在の確認を試みた。分子量の異なる2本のバンドがシフトした。rTRのcDNAよりin vitro translationにより作製した精製蛋白およびrTRを豊富に発現するFRTL細胞(甲状腺腫由来細胞)の核抽出物を用いるとシフトするバンドは1本でありCos細胞の核抽出物で得られた高分子量のバンドと一致した。以上よりTREはANF遺伝子の‐258〜‐64に存在するがこの領域には典型的TRE配列はなくANFに特異的TREが存在する可能性が示唆された。今後フットプリント法を用いてTREをさらにmappingする予定である。
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