1.出芽酵母のコフィリン遺伝子COF1を組み込んだプラスミドを突然変異誘起剤ヒドロキシルアミンで処理し、出芽酵母の増殖を高温感受性とするコフィリン変異体を4種得た。 2.高温感受性コフィリン遺伝子の塩基配列を決定したところ、独立して得られた6株、4種の全てにおいて、in vitroでの解析によって、コフィリンのアクチンおよびポリホスホイノシチドとの結合部位であることが明らかにされているドデカペプチドの部分にアミノ酸の変異が生じていた。 3.相同組替えにより、染色体上の野生型コフィリン遺伝子を高温感受性コフィリン遺伝子で置き換えた酵母変異株を作製した。これらの変異株は、予想どうり、増殖が高温感受性であった。 4.高温感受性コフィリンのみを発現している酵母を高温にシフトすると、小さな芽を出した細胞の割合が高くなり、その後、細胞が溶解してviabilityが失われた。 5.野生株の酵母細胞をコフィリンに対する特異抗体で蛍光抗体染色したところ、出芽部位のアクチンパッチと呼ばれるアクチン繊維が密に集まった構造が染色された。高温感受性コフィリンのみを発現している酵母細胞を高温にシフトすると、このパッチ状の染色は失われた。 6.出芽酵母の遺伝子ライブラリーをスクリーニングし、高温感受性コフィリンのマルチコピーサプレッサーを1種類得た。この遺伝子は、今までに報告されていない新規な遺伝子であった。現在、この遺伝子の産物の同定と解析を進めている。
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