石油資源の探査・開発の経済学的分析を行った。まず第一に、石油・天然ガスの探査・開発を投資行動としてとらえ、これを説明する投資理論の開発をq-投資理論を基礎にして行った。このとき石油資源の探査・開発は地下の蓄積されたreservesすなわち資本の価値と原油価格の間の関係に深く依存する点を明示的に取り入れた。第二に、この投資理論を実際に使って実証分析を行った。まず、アメリカの大規模な石油企業20社のデータを利用して、その石油探査・開発投資と企業価値あるいはキャシュ・フローとの関係を推定した。アメリカの石油企業は、1980年代をとおして国内の投資を抑制し、海外での投資を増大させてきた。また、探査・開発に代わって企業合併・資産取得によるreservesの獲得を増大させてきた。このような、アメリカの石油産業の構造変化、企業行動の合理性を実証研究の推定値にもとづいて分析した。 次に、この投資理論をソビエト連邦の石油産業に応用して同様の実証分析を試みた。1992年8月にモスクワで資料収集を行ったが、適切な資料が作られていないことが判明したために、データに合せて、実証研究の方法を修正している。 以上の研究の補足修正を行って、1993年度中に論文として発表する予定である。
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