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1993 年度 実績報告書

宇宙氷の変形機構とその組成、温度、歪速度依存性に関する実験的研究

研究課題

研究課題/領域番号 04835002
研究機関北海道大学

研究代表者

荒川 政彦  北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10222738)

研究分担者 前野 紀一  北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50001657)
キーワード氷衛星 / 微惑星 / テクトニクス / レオロジー / アンモニア水溶液 / 部分溶融 / 流動則 / クリープ実験
研究概要

H_2Oを主成分としたアンモニア、メタン等の揮発性物質を含む氷の粘弾性は、氷天体の進化を研究する上で最も重要な物理的性質である。特にこれらの混合物は広い温度・組成領域で部分溶融状態を示すため、氷天体の火山活動、テクトニクスに重大な影響を与えたと思われる。本研究の目的は、外惑星環境下で氷を主成分とする揮発性物質の粘弾性的性質を実験的に明らかにすることである。特に、太陽系に広く多量に存在し、氷天体を構成していると思われるH_2OとNH_3の混合氷の粘弾性を調べることに研究の主眼を置いた。本研究で得られた成果を要約すると以下の通りである。
1.外惑星環境下で氷混合物の粘弾性的性質を測定する方法を確立した。温度30K-220Kの範囲で溶液、固体の両方を扱うことのできる同心円筒型の変形試験機を開発した。冷却にはヘリウムガスサイクル型の冷凍機を用い、トルク・変位の制御・計測にはサーボモーターを用いた。
2.氷-アンモニア混合物のクリープ実験から、以下の事が明らかになった。なおアンモニアの組成は、2-8.4wt.%、実験温度は、180K-220K、与えた剪断応力は、10kPa-0.1MPaである。
(1.)部分溶融状態での氷-アンモニア混合物は非ニュートン流体の特徴を示す。その時の応力と歪速度の関係は以下のように書ける。
ε^^・〓σ^4
(2.)定常クリープにおける歪速度の温度依存性から得られる、活性化エネルギーの値は、約34kJ/moleである。この値は、アンモニア水溶液の値と非常に近い。
(3.)今回の研究から得られた構成方程式より見積もられる有効粘性率は、応力0.1Mpaの時、10^7-10^9Pasとなる。これは固相状態の氷-アンモニア混合物より、10^<10>倍以上低い値である。
以上のことから、氷-アンモニア混合物は、いったん共融点を超えて部分溶融状態になると、そのメルトフラクションが30%以下であっても急激に粘性率が減少して流動性に富むようになることがわかる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 荒川 政彦: "低温下における氷-アンモニア混合物の変形実験" 第15回太陽系科学シンポジウム. (1994)

  • [文献書誌] Masahiko Arakawa: "Mechanical deformation of polycrystalline ice Ih at temperatures 100K-263K: First Report" Physics and chemistry of Ice, Hokkaido Univ. Press. 464-469 (1992)

  • [文献書誌] Norikazu Maeno: "Deformation of Ice/Rock Mixtures and application to the densification and Thermal Evolution of Icy satellites" Primitive Solar Nebula and Origin of Planets, Terra Sci.Pub.341-353 (1993)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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