研究概要 |
本研究では、原始星からT Tauri型星のかけての原始惑星系円盤の形成過程の大筋を明らかにした。かなわち、原始星の時代に、10,000天文単位の大きさの外層部が降着することにより、中心星と原始惑星系円盤が成長していき、やがて外層部が消失して、原始惑星系円盤を伴ったT Tauri型星が出現するのである。以下に、個別に述べる。 1.おうし座分子雲の物理状態の観測 東大60cm望遠鏡を用いて、おうし座分子雲全体をCO(J=2-1)輝線で観測した。CO(J=1-0)輝線の観測との比較により、おうし座分子雲が全体として低密度低温であることが分かってきた。これが、おうし座分子雲で低質量星しか形成されない要因のひとつだと考えられる。 2.分子雲コアの進化 おうし座分子雲に存在する32個の原始星候補天体について、野辺山45m電波望遠鏡によるC^<18>サーベイ観測を終了した。より若い天体ほど外層部に存在するガスの量が多く、T Tauri型星になると10,000天文単位サイズの外層部は見られなくなっていく。 3.HL Tauでの動的降着の検出 原始星からT Tauri型星に移行期にある天体HL Tauから、直径3,400天文単位のガス円盤を検出し、この円盤が中心部へと動的降着していることを示した。これは、星形成過程において動的降着の初めての直接的検出である。降着ガスの運動状態の解析から、半径数十天文単位の原始惑星系円盤が形成されつつあること、またこの円盤内での粘性降着が非定常であることが分かった。 4.原始惑星系円盤からのガス成分の検出 GG TauおよびDM Tauの星周円盤から、COガスの検出に初めて成功した。これに続く野辺山ミリ波干渉計の観測により、COガスの分布が回転円盤状であることも確認した。COの同位体輝線強度から見積もって円盤内でのCOの存在度は、星間分子雲に比べて最低でも1桁以上欠損していることが判明した。
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