1.Fo_<100>からFo_0(Fa_<100>)の様々な組成のカンラン石の水質変成実験を行ない、生成物を電子顕微鏡(TEM)およびXRDによって分析した。実験は400℃、500気圧の条件下で、また水が中性および酸性の場合に分けて行なった。Fo_<100>-Fo_<80>のカンラン石からは酸性、中性いずれの条件でも良く発達した針状のサーペンティンが生成し、その大きさと量はMgが増す程度大きくなった。また、Fo_<50>、Fo_<20>からは、柱状・繊維状のタルクが、また、Fo_<20>、Fa_<100>からは、Framboid状のFeに富む微粒子の集合物(おそらくFe hydoxide)が生成することがわかった。今回の研究によってこのように出発物質であるカンラン石のFe/Mg比によって変成生成物の種類、大きさ、量は非常に異なること、また、溶液のpHによって変成反応の速度が大きく異なることがわかった。 2.Vigarano CV3炭素質コンドライトのDark inclusionの岩石鉱物学的研究を行なった。しかし、我々の今回の研究は、Vigaranoのdark inclusionの中に水質変成を受けたと思われるコンドリュールや、水質変成の典型的な脈上組織を見出した。今回の研究結果は、Dark inclusionは、星雲中での生成物ではなく、母天体上で長期の水質変成を受け、その後おだやかな熱変成を受けてできたものという新しい解釈をもたらした。 3.衝撃および熱による変成を受けたと思われる炭素質コンドライト、Leoville、Yamato-82104、-693、-82002、の岩石鉱物学的研究を行なった。Leovilleはこれまで衝撃による影響は疑問視されていたが、その構成物の微細組織に衝撃圧縮に特有の特徴を見いだした。他の隕石からは強度の衝撃・熱による熱変成組織、部分的な溶融の痕跡も見られた。
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