グルコース、3-デオキシグルコソン(3DG)のタンパク質架橋重合作用について検討するために、グルコース(100mM、1M)、3DG(100mM)とタンパク質(リゾチーム、ヒト血清アルブミン、各々100mg/ml)37℃で4週間インキュベートし、蛋白質のグリケーションを行った。架橋、重合変性の状態を電気泳動法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などにより分析した。電気泳動の結果、リゾチーム単独に比較して、グルコースとインキュベートしたサンプルではモノマーの他にダイマーのバンドが強く検出され、トリマーと思われるバンドも検出された。3DGとインキュベートしたリゾチームではモノマーの他にダイマーのバンドが強く検出され、トリマーから高分子に至る連続したバンドも検出された。ダイマーのバンドも3DGとインキュベートしたものの方がグルコースとインキュベートしたものに比較して、より高分子側に泳動されていた。ヒト血清アルブミンとグルコースまたは3DGを同様にインキュベートしたものの電気泳動パターンは明確なダイマーのバンドは検出されず、特に3-デオキシグルコソンとインキュベートしたものではモノマーから高分子まで連続したバンドが検出された。HPLCの結果、UVによるクロマトグラムではリゾチーム単独では単一ピークが検出されたが、グルコースとインキュベートしたものではダイマー、トリマーに相当すると考えられるピークが検出された。3DGとインキュベートしたものではモノマー、ダイマー、トリマーのピークまで連続したリゾチームの重合体の溶出がみられた。架橋重合部に特徴的な蛍光を検出したクロマトグラムではリゾチーム単独では殆ど蛍光ピークが検出されず、グルコースでは蛍光ピークが検出され、3DGとインキュベートしたものではグルコースに比較して非常に強い蛍光ピークが検出された。以上、3DGはグルコースに比較してタンパク質の架橋重合体形成作用が強いこと、さらに蛍光を有する架橋重合構造の生成作用が強いことが明らかになった。架橋重合構造のESI-MSによる解析を現在行っているところである。
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