研究課題/領域番号 |
04836010
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
吉田 豪 三重大学, 医学部, 講師 (90106972)
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研究分担者 |
征矢 英昭 三重大学, 教育学部, 助教授 (50221346)
津村 秀樹 三重大学, 医学部, 助手 (20180052)
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キーワード | 突然変異マウス / 成長遅延 / 甲状腺機能低下症 / 脳下垂体前葉 / 色素嫌性細胞 / 形質転換(トランスフォーメーション) / オルニチン脱炭酸酵素 / 加齢 |
研究概要 |
DW/J系マウス中に見出された特異な成長遅延を示す突然変異マウス、成長遅延症マウス、の内分泌系の加齢変化と寿命の測定を目的として、今年度は以下の研究を行った。 1.成長遅延症マウスでは老齢より、下垂体前葉に色素嫌性で免疫組織化学的にみて、前葉ホルモンを含まない細胞の集塊が存在し、加齢とともに下垂体前葉の肥大が起る。ポリアミン合成の律速段階を触媒するオルニチン脱炭酸酵素(ODC)活性を測定したところ、ODCは2ヵ月齢成長遅延症マウス下垂体で正常に比べて20倍に上昇しており、加齢とともに減少して12ヵ月齢では正常レベルになった。肝ODC活性は成長遅延症と正常マウスで差は認められなかった。最近、ODCは細胞の形質転換(トランスフォーメーション)に関与することが明らかにされたが、成長遅延症マウスでは下垂体前葉細胞に形質転換が起り、異常な色素嫌性細胞の増殖と成長ホルモン産生細胞などの正常細胞の減少を招来した可能性が示唆された。成長遅延症マウスでは甲状腺のTSH応答性が悪く、そのため甲状腺機能低下症となっていることがこれまでに判明しているが、甲状腺ホルモン欠乏が、ある種の下垂体前葉細胞の形質転換を誘起しているのかもしれない。 2.寿命測定のためSPF化した成長遅延症マウスのバリアーシステム内での飼育を継続して行っている。 3.非侵襲的に測定できる老化指標としてクレアチニン等の尿中排泄量の測定を計画している。 4.まだ明らかとなっていないTSH、TRHや性ホルモン動態について検討中である。
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