研究課題/領域番号 |
04836010
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
老化(加齢)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
吉田 豪 三重大学, 医学部, 講師 (90106972)
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研究分担者 |
征矢 英昭 三重大学, 教育学部, 助教授 (50221346)
津村 秀樹 三重大学, 医学部, 助手 (20180052)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | 突然変異マウス / 成長遅延症 / 甲状腺機能低下 / クレチン病 / 成長ホルモン / 下垂体-甲状腺系 / 加令変化 / 寿命 |
研究概要 |
本研究において、DW/J系マウス由来の成長遅延症(gr)マウスの下垂体-甲状腺系、GHおよびプロラクチンを中心とした内分泌系の特性ならびにそれらの経時変化について以下の点を明らかにした。 1)grマウスは常染色体性劣性遺伝(遺伝子記号、grt)により出生時より原発性甲状腺機能低下症となり著名な甲状腺ホルモン欠乏を呈する(ヒト、クレチン病のモデル動物)。 2)grマウス血清T4濃度は3ヵ月齢以降わずかに増加するが一生を通じて正常値の1/3以下にとどまる。 3)grマウス下垂体前葉細胞は甲状腺ホルモン欠乏の影響を受けて、TSH細胞はホルモン合成、分泌過剰となりホルモン枯渇状態を呈し、GHおよびプロラクチン細胞の増殖、発達は遅れ、これらホルモンの下垂体含量の増加は固体の成長とともに遅れる。GH、プロラクチンの下垂体含量は加齢にともない増加が認められるが、老齢に至っても正常値以下である。 このようんなgrマウス内分泌環境の老化に及ぼす影響を調べるため、grマウスをSPF化しSPF環境下における寿命を測定し正常マウスとの比較を試みた。1992年3月以前に出生した雄のgrマウス7匹および正常マウス14匹について生存率曲線を作成し50%生存の日齢を求めたところ、正常マウスで約700日に対してgrマウス約600日であった。既に報告したように、grマウスでは加齢にともない下垂体前葉の肥大が起こり、死亡時の剖験例ではほとんどの場合腫瘤化して周囲にひろがっていた。このような下垂体病変の影響を考慮する必要があると考えられるが、本研究の結果は、少なくとも、甲状腺ホルモンやGHは個体の正常な発育に必須であるが、理想的環境下における成熟後の生命維持には必ずしも必要ではないことを示唆した。寿命以外の老化の指標となるような生理機能、例えばエネルギー代謝等、についての検討が今後の興味ある課題と思われる。
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