研究課題/領域番号 |
04836019
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岸川 正大 長崎大学, 医学部, 助教授 (80112374)
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研究分担者 |
近藤 久義 長崎大学, 医学部, 助手 (00170431)
栄 美保子 長崎大学, 医学部, 助手 (70244051)
井関 充及 長崎大学, 医学部, 助手 (50176252)
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キーワード | 老化 / 脳 / 神経原線維変化 / 老人斑 / 原爆 |
研究概要 |
被爆者およびその対照例の合計190症例が今回の検索材料である。その内の140例について、広島および長崎における保存剖検脳の再切り出しをおこない、病理標本の作成をおこなった。前頭葉の切り出しの際に嗅球が残存している症例では同時に嗅球も前頭葉のパラフィンブロックに包埋した。すなわち、老人性痴呆の初期症状として嗅覚障害の発現が知られているので、嗅球における老人性変化、特にアルツハイマ-の神経原線維変化と老人斑の発現頻度を併せて検討してみることにした。 病理医2名により互いに独立して神経原線維変化についての組織所見の評価をおこなってきたが、その結果にはかなりのバラツキが見られ、評価法を再考しなければならないように思えた。これらのバラツキは例えば、neural threadをどの程度まで陽性所見ととるかによって2名の病理医間でかなりの違いが現れたためであった。そこで現在はパイロット研究として画像解析のソフトを作成して、これらの数をカウントしている段階である。比較的にそのデ-タに再現性があるようであり、もうすこし信頼性が増すようになれば、画像解析も併用した方法にておこなうようにしたい。 嗅球が得られた28症例についての解析では、嗅球の神経原線維変化は被爆群28.6%対し、対照群は42.9%であった。老人斑は見られなかった。海馬では老人斑は被爆群の14.3、対照群の7.1%に見られ、原線維変化は被爆群35.7%、対照群42.9%であった。海馬傍回での老人斑は被爆群の28.6%、対照群の14.3%に見られ、神経原線維変化は前者の50%、後者の64.3%に認められた。 有意差検定では両群間に統計学的有意差は得られなかったが、海馬領域では原線維変化の出現は対照群に多い傾向にあった(P<0.08)。
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