研究概要 |
まず、今迄直接的には確認されていなかったヒト骨芽細胞でのOSF-1の発現をmRNAレベルで確認し、そのcDNAをクローン化して全塩基配列を決定した。それは、先に本研究者等がヒト脳細胞から単離したものと全く同一であった。次に、OSF-1と骨粗鬆症との関連を調べるため、骨粗鬆症患者および健常人の骨折治療時に得られる骨組織を培養し、得られる骨芽細胞からRNAを抽出し、G3PDH,OSF-1,オステオカルシン、タイプIコラーゲンのcDNAをプローブとしてハイブリダイゼーションによりmRNAの発現量を比較した。解糖系の酵素であるG3PDHの発現量を内部コントロールとして補正し、骨粗鬆症患者由来の骨芽細胞における発現量を健常者のものを100%として示すと、コラーゲン129.0±8.8%とやや増加傾向が見られたが、OSF-1 95.0±13.5%、オステオカルシン99.3%±24.0%と有意な変化は見られなかった。骨粗鬆症患者と健常者との間でOSF-1の発現に差が見られなかったので現在、その受容体に注目し、cDNAライブラリーを導入したCOS細胞にビオチン化したOSF-1蛋白質を結合させ、ストレプトアビジンをコートした鉄粒子と磁石を利用してOSF-1受容体を発現している細胞を単離する方法により、OSF-1受容体のcDNAクローニングを行っている。
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