研究概要 |
老化による骨形成能低下の機序を明らかにするため、幼若から老齢へと週齢の異なるラットの骨髄細胞をデフュージョンチャンバー(DC)内に封入後、骨髄細胞の分化能とエイジングの関係について遺伝子レベルで検討した。 1.骨芽細胞の表現型であるアルカリフォスファターゼ(ALP)、オステオポンチン(OP)のcDNA、またさらにプロコラーゲンalpha_1(I)のcDNAを昨年度クローニングしたのでこれらのcDNAを用いて8週齢および24週齢ラット骨髄細胞を封入したDC内骨組織のmRNA発現をフィルターハイブリダイゼーションにより測定した。プロコラーゲンalpha_1(I)とOPのmRNAは8週齢、24週齢ラット骨髄細胞DCとも発現量には差はないが、BGP mRNAの発現量で見た24週齢ラット骨髄細胞による骨形成能は低下しており特に成熟骨芽細胞への分化能が低下していることが明らかになった。 2.非放射性標識cRNAプローブを用いたIn situハイブリダイゼーション法を確立しDC内組織切片に応用した。ラットBGP cDNAをテンプレートとしてジゴキシゲニンで標識したcRNAプローブを作成し、移植5週後のDC内新生組織のパラフィン薄切片についてIn situ ハイブリダイゼーションを行った結果、24週齢ラット骨髄細胞によるDC切片上のBGP mRNAのシグナルは骨軟骨部位に検出されたが8週齢ラット骨髄細胞によるDC切片より弱かった。 3.骨髄細胞によるin vivoでの骨形成におけるビタミンKの作用を検討するため、ラットにV.Kを経口投与した。しかし連続5週間投与を行うことは不可能であったので、平成6年度は24週齢ラットの骨髄細胞をDexamethasone,Ascorbic acid-phosphate,beta-glycerophosphateの存在下で培養するin vitroの骨形成モデルにおいてV.Kの効果を検討する。
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