研究概要 |
骨粗鬆症では単位容積内の骨量の減少をきたすが、その成因として骨芽細胞の活性低下や未分化細胞の骨芽細胞への分化能の低下が考えられる。研究代表者らはin vivoの骨形成実験モデルとして1)ミリポアメンブレンで囲んだDiffusion chamber(DC)内にラット骨髄細胞と脱灰骨粉を封入しラット皮下に移植する系と、2)多孔性セラミックに骨髄細胞を付着させラット皮下に移植する系を用いて骨髄細胞の骨芽細胞への分化能と老化の関係を生化学的および遺伝子レベルで解析した。DC移植法による骨形成では、8,12,23週齢ラットより骨髄を採取し10^τ細胞を脱灰骨基質10mgと共にDC内に封入後8週齢ラットに皮下移植した。移植5週後のDC内新生骨中Alkaline phosphatase(ALP)活性、Ca,Piの蓄積量、成熟骨に特異的なBone Gla protein(BGP)合成量を測定したところ、いずれのパラメータも8週齢骨髄で最も高く23週齢の骨隋では著しく低下した。遺伝子発現で比較していも8週齢と12週齢骨髄による新生骨ではBGPのmRNAは強く発現しているが、23週齢骨髄ではこのmRNAの発現は見られなかった。骨髄細胞/セラミック複合体による気孔内の骨形成においても8週齢骨髄に比べ60週齢骨髄ではALP活性やBGP合成量は約1/6であった。老齢骨髄細胞による骨形成能の低下が骨髄細胞中の未分化間葉幹細胞の骨芽細胞への分化能の低下によるのかを明らかにするためさらにin vitroにおける骨形成能を培養骨髄細胞を用いて検討した。7週齢と25週齢ラット骨髄細胞を10^4細胞数でDexamethasoneの存在下で2週間培養した。どちらも石灰化noduleを形成し、DNA量、ALP活性は幼若ラット骨髄の方がやや高いレベルであった。しかしBGP mRNAの発現量には全く差がないどちらも強く発現していた。以上の結果より未分化細胞から骨芽細胞への分化能は老化によって低下するが分化誘導因子の作用により分化の促進が可能であることが示唆された。
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