研究課題
月の地殻の厚さの水平方向の非均質性を検討するために、アポロ地震データを使ったモンテカルロ・インバーション法を開発した。モデル構造をモンテカルロ的に多数設定し、この構造にたいしてのP波、S波の走時を計算しこれを観測値と比べるものである。ここでは表面で発生したことがわかっている隕石衝突による月震波が複数の地点で観測されている月震を利用した。これらの地震の走時は隕石衝突点近傍と観測点近傍の近くの厚さを反映してものになっており、これらを解析することによって、隕石衝突点と観測点直下の地殻厚さを決めることができた。これにより、これまで海の平均的地殻の厚さしか求められていなかったものに対して、月の地殻厚さの分布についての地図を始めて作成することに成功した。この結果は地殻の厚さが大きなクレータや海の領域など表面地形と密接な関係があることを示している。また重力分布を考慮した地殻モデルを作成し、地震データと重力データの両方を説明できるモデルを構築した。また月震記録に見られる長いコーダ波から地殻構造についての情報を引き出すための研究についても行っている。これまで深発月震のコーダ波は各成分ごとに独立でコヒーレンスがないと信じられていたが、ある程度の期間平均でみると南北、東西の水平動2成分間にはコヒーレンスがあることが分かった。コヒーレンスがある部分の粒子運動の方向から、コーダ地振動の到来方向が震源とは違った方向から来ていることを示唆する結果が得られており、これは地震波散乱を起す構造が観測点周辺にあることを示している。
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Prc.Japanese Society for Planetary Sciences Autumn Meeting 2004.
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