研究課題/領域番号 |
04F03812
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴崎 亮介 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授
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研究分担者 |
SWAIN Dillip Kumar 東京大学, 空間情報科学研究センター, 外国人特別研究員
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キーワード | 気候の変化 / 地球温暖化 / アトモスフィアリック・ブラウン・クラウド / 米生産高 / CERES-riceモデル / 遺伝子型係数 |
研究概要 |
現在のアジアにおける穀物生産は地球の温暖化及びABC(Atmospheric Brown Cloud)に起因する複雑な気候のリスクが懸念される。最も重要な温室効果ガスはCO_2濃度であり、継続的な化石燃料の燃焼によりその数値今後も増加すると予測されている。INDOEXによって発表されたABCとは、のバイオマス燃焼と産業排出物から発生する汚染物質で、特に南アジアやベンガル湾などで12月〜4月に確認されている。ABCが最も直接的に影響を及ぼすのが地表に到達する太陽熱の減少・大きな雨滴粒子の形成が抑制される事により生じる効果的な降水量の減少であり、結果として農業生産性の減少を招く。当研究には農作物シミュレーションモデルCERES-Rice DSSAT v.4.0を用いた。CERES-RiceモデルでIR36という米の品種と2001年のインドの雨季における実験用データを用いて120日間の遺伝子型係数のキャリブレーションを行った。インド低地地方の過去20年(1983〜2002)のIR36の産出高は80kg N/haとシミュレートされた。シミュレーションはCO_2レベルの倍増及び気温を1℃、2℃或いは4℃毎に上昇させて地球温暖化による気候の変化が米の生産高にどのような影響を与えるかを調べた。CO_2濃度が高いほど光合成が促進され、作物の放射効率を向上させ、その結果米産出高も増加した。その一方で気温の上昇はいずれのCO_2濃度においても米産出は現象した。これらの結果から、気温に耐性のある品種の採用や成長段階の重要な時期での高温によるストレスを回避するための種蒔期間の最適化は気候の変化に起因する生産高への打撃を招く恐れがある。 ABCの影響はスリランカのMCIZでもシミュレーションを行った。放射効率を30%減らしたところ、インドでの米生産高が12%の減少に対してスリランカは17%〜45%の間が観測されたが、さまざまな適応方策による緩和が可能である。
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