河は、『韓国古代史入門』3を共同執筆し、そのなかで、「韓国古代の土俗信仰と密教」に関して、三国遺事などの史料の分析を中心に、今までの韓国古代の龍神、山神、初期密教に関する論争を新羅を中心にまとめた。そして、研究史検討をした上で、その論争の問題点やこれからの課題を提示した。また、河は共著者3名とともに「韓國神をまつる日本の神社」をまとめた。5-6世紀には、韓半島の高句麗、百済、新羅、加羅などから渡来人が日本へきて、定着するようになったが、その際に、自分の祖先をまつるために神社や氏寺を建てたことがあり、その神社や氏寺を整理紹介した。それらはいまだに日本のあちらこちらに残っているが、それに関しては韓国の学会などに紹介されたことはあまりなかった。そこで、このようなタイトルの共同研究を経て、本の編集が始めた。分担執筆であるが、河は関西地方を中心に朝鮮からの神様を祭っている神社を訪ねて、その史料や写真など整理して報告した。直接に三国遺事と関わるものではないが、もともと韓半島にいた人たちが、日本に渡り、どのような精神生活をしたかについて考えることは、古代に韓半島における思想史的な問題を扱う上で参考になるものである。さらに河は、『三國遺事史料批判』という単著をまとめた。これは、いままでの三国遺事関係の論文を博士学位論文を中心にして、修正し再考したものである。三国遺事の成立過程を編者、時代、校勘、三国史記、異体字、補充、後注、一貫性などのキーワードを中心に外的また内的な史料批判を行った結果をまとめた。
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