研究概要 |
今年度は後半から研究を始めたのであるが,既に以下ような2つの方向の研究を論文をまとめつつある. 一つ目の研究は,degenerate convex surfaceにおいてのSteinhauss型の問題(最遠点集合を対応させる写像Fが1価で全単射となり,最遠点の最遠点はもとの点となるdegenerate convex surfaceは,円盤のdoubleとなる?)についてであるが,最遠点までの距離が一定であることを更に仮定すれば,一般次元においても肯定的に解決できた.また,定幅曲線からなるdegenerate convex surfaceの場合にも肯定的に解決した.更に,本来のSteinhauss問題に関しては,Fが全単射でF^2=idとなる回転面で中心対称でない一般次元の例を構成した.現在,論文にまとめているところである. 二つ目の研究としては,凸曲面における最遠点となりうる集合を特徴付ける問題を考察した.凸多面体の場合に,ある種の閉測地線がある場合には,最遠点となりうる点は,そこからその長さ分だけ離れていることや,曲率がπ以上の頂点は必ずどこかの点の最遠点となることを以前大学院生の研究として指導したことがあるが,それを更に凸曲面における擬閉測地線の場合に一般し,以前の証明のギャップを埋め,現在,論文として最終チェックの段階である. また,一般に凸とは限らない多面体の最小跡が,多面体を近似する曲面の列を取ったとき,その最小跡の極限集合と一致するかどうか等の問題の考察にも,徐々に取りかかっている.更に,グラフにおけるSteinhauss型の問題や,最短の擬閉測地線は特異点を1点しか通らないか等の新たな問題を見つけだしており,今後の進展が期待される.
|