研究概要 |
高温度域での大ひずみ加工で生じる微細粒組織の生成過程と生成機構を明らかにするため,粗大粒鋳造組織を有する強力アルミニウム合金7475に多軸鍛造(多段階圧縮)加工と側方押出加工(ECAP)を施した.その際に現れる変形特性と微視組織の生成過程との関係を調査し,次の諸結果を得た 1.多軸鍛造下で生じる微細粒組織の体積率は,一軸圧縮の結果に比べて顕著な増加を示した.また,多軸鍛造下の1パス当たりのひずみΔεの増加に伴いより微細粒組織がより低ひずみ域から生じた.その体積率は高ひずみ域では同じ一つの飽和値(約0.85)に接近した.これに対し,一軸圧縮加工下では微細粒が粒界に沿ってのみ生じ,粒内では微細層間隔の層状組織だけが生じた. 2.多軸鍛造加工下では変形帯が三次元空間中に種々の方向に生じ,それらが交差した,その結果,初期の粗大初期結晶粒を細かく分割するため微細粒組織が生成することから,微細粒生成は加工誘起による連続再結晶が働き生じると結論された.これより,多軸鍛造加工法は微細粒組織の生成を促進させる最も有効な大ひずみ加工法の一つであるであると結論された. 3.側方押し出し加工では,加工ひずみが約3以上から微細粒が生成しだし,8以上のひずみ域でその体積率は約0.8の飽和値に達した.多軸鍛造下の微細粒がひずみ0.4以下から生じ,3付近で飽和値に達する結果と比べて,側方押出加工の結果は劣ることがわかる.
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