研究概要 |
第一原理計算プログラムSIESTAを用いて(1-x)SrTi^<16>O_<3-x>SrTi^<18>O_3系誘電体の構造安定性について議論した。その結果、最適化された格子定数はxとともに増加し、強誘電性は安定化されることが示された。Ba_<1-x>Sr_xTiO_3系に対するシミュレーションと組み合わせて配置による井戸の深さとTiの非中心変位の長さは酸素の質量に依存し、これは実験事実と一致することがわかった。これらの結果は同時に進行させている磁気-電気マルチフェロイックスの設計とナノサイズ強誘電体に対するサイズ効果を理解するのに有用である。またBaTiO_3系単結晶エピタキシャル膜のサイズ効果を調べた。 BaTiO_3をSrTiO_3/SrRuO_3上にBaTiO_3を10nm〜500nm積層した膜の誘電特性をAFMで調べた。その結果、これらの膜は面内と面外分極成分をもつ強誘電体であり、強誘電性に関してはどの厚さでも確認された。これは粉末の結果とは異なっており、いわゆる基板による歪み効果であると考えられる。SrTiO_3/SrRuO_3/BaTiO_3/SrRuO_3なる対称電極系の強誘電性を調べたところ、抗電界は100kV/cm程度であることを確認した。 本研究と平行して、マルチフェロイックスの設計も試みた。BiFeO_3,LaFeO_3,LaCrO_3とBi_4Ti_3O_<12>,Bi_5Fe_2Ti_2O_<15>,Bi_3FeTiO_3,BiCrO_3との固溶体の磁性と誘電性も調べた。
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