馬鈴薯アントシアニンの健康機能性の解明 (1)動物実験による抗酸化活性への影響の解明 有色馬鈴薯に含まれる色素成分を含む画分を抽出して、ガラクトサミン(GalN)誘発肝障害ラットに2週間経口投与を行った。その結果色素成分抽出画分が血清の肝毒性の指標となるGOT、GPT、ALP、LDHの値を有意に抑えた。さらに、生活習慣病の原因の一つである過酸化脂質に対する抗酸化活性について検討した結果、肝臓では過酸化脂質濃度がGalNを投与することにより有意に増加するのに対して赤色素及び紫色素画分を投与した区では減少する傾向がみられた。特に紫色素画分では過酸化脂質濃度を有意に低下させていた。また、肝臓で過酸化水素を水と酸素に変換することによって無毒化させるときに働く還元型グルタチオン濃度は両色素画分投与区で増加する傾向がみられ、特に紫色素画分投与区で有意に増加させていた。抗酸化活性に関わる肝臓抗酸化酵素では、スーパーオキシドアニオンを水と酸素に解毒する過程で働く抗酸化酵素マンガン依存性スーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)のmRNA発現が赤色素画分投与区でGalN投与、非投与に関わらず有意に増加することが確認された。このことから、有色馬鈴薯に含まれる色素成分に酸化抑制効果を有することが明らかとなった。 (2)試験管レベルでの抗酸化活性の確認 試験管レベルでアントシアニン系色素のラジカル消去能については紫色素画分、赤色素画分及び白イモであるトヨシロ、ホッカイコガネについて標品であるケラシアニン及びマルビニンと比較した。その結果、勝系4号(赤色素)では34%、勝系3号(紫色素)で51%、北海88号(紫色素)で37%の抗酸化活性がみられた。それに対して白イモでは4〜9%程度の抗酸化活性しかみられなかった。 以上の結果より、試験管レベルでの抗酸化活性は生体での抗酸化活性と同様の効果が確認された。
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