研究概要 |
西表島と沖縄島のアシハラガニモドキ(Neosarmatium indicum, Ni)とフタバカクガニ(Perisesarma bidens, Pb)の雌雄の生殖巣の発達の程度を西表島では、2004年8月2-6日の間に、沖縄島の2つの川では月ごとに1年間しらべ調べた。他方、それぞれの採集地から生きたカニを持ち帰って生殖巣から生殖細胞(卵または精子)の状態を検鏡したが、生きた成熟した卵と精子を取るにはいたらなかった。卵については、いろいろな段階の卵母細胞と既に受精したいろいろな発生段階のの幼生が観察できた。卵と幼生を入れている卵膜のサイズはほぼ同じと考えられる。卵数はNiでは5227から26473(平均14208)で、Pbでは3500から15600(平均6350)であった。卵サイズはNiが平均0.42mmで、Pbが0.30mmであった。これらの結果から、受精直前の時期を予測し、本格的に人工受精の確立に向けての予備調査がある程度できた。 これらの課題研究テーマと平行して、西表島で採集したオオーベンクイガニ(Neoepisesarma lafondi)を実験室に持ち帰り、この種では初めてゾエアとメガローパの発生段階を詳細に観察記録した。メガローパはハッチングして13日から始まり26日まで見られた。これらの結果を近縁種と比較し考察した。またP.bidensの成体の消化管の内容物を詳細に調べ、マングローブ域における役割について論じた。これらの2点について、論文の作成途中にある。
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