研究課題
内臓リーシュマニア症は死亡率が高く重篤な疾患であるがインドやバングラデシュなどの田舎に分布が限られていること、良い治療法が無いことなどにより長く無視されてきた感がある。我々は、流行地で応用できる簡便な免疫診断法の開発を目標に研究を続けており、特に尿を検体とするする診断法に力を注いでいる。2003年12月にバングラデシュ、ラジシャヒにおいて血液及び尿検体、約900サンプルを採取した。これらを用い、我々が開発した尿を用いるELISA、尿による直接凝集法(機器を要しないので途上国における応用が可能)、さらに今回新しく開発したレコンビナント蛋白rK39-like proteinを用いたELISAなども検討した。これらの診断法は(すでに市販されている製品も含めて)実験室レベルでは良好な結果が得られるものの、野外応用では必ずしも満足できない結果が得られた。流行地では、陰性/陽性の境界域にあるサンプルが多いためと考えられる。今後さらに改良する必要がある。我々は既に、尿中抗体と強く反応するリーシュマニア虫体成分calreticulinを同定した。この大量発現のために様々な実験を重ねているが満足な結果は得られていない。最近calreticulin分子を切断し、幾つかのタンパク質を得ることが出来たので、それらの抗原性を検討中である。プロマスチゴート抗原に対して作製された抗体を用いて尿中の抗原を検出するantigen capture ELISAが開発された。感度89.0%、特異性95.1%が得られている。野外応用の準備が進行中である(2005年3月にラジシャヒ訪問の予定)。
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