(1)内臓リーシュマニア症免疫診断法の開発 血液の代わりに尿を検体とする「尿」免疫診断法を開発している。これまでに特異的IgG抗体を検出するELISA法、直接凝集法(DAT)を完成させ、バングラデシュで野外調査に応用した。また、尿中の抗原を検出するELISA法も開発した。サンプル採取が容易なため人々の協力が得られやすく疫学調査に非常に有用であることが示された。平成17年度はさらに2種類の新しい診断法を開発した。 *新しい組み換えタンパクを用いた尿ELISA法 rKRP42蛋白を作成しELISA法に応用した。この診断法は特異的IgGを検出するもので、感度は94.3%で従来法とほぼ等しいが、特異性が高く99.6%に達する。現在は、主としてこのELISA法を用いて野外調査が行われている。 *抗体結合プレートを用いた凝集法 非常に有望な尿診断法で、感度・特異性が高く、肉眼で陽性、陰性を判定できる。検査設備のない流行地での応用が可能である。現在、バングラデシュのラジシャヒ大学医学部で試用されており良好な結果を得ている。 (2)患者の早期発見にむけた尿診断法の利用 ラジシャヒのノバイボッタラ村では、H.17年3月に尿抗体陽性者が29名いたが、7月の再訪問時にはそのうちの14人(48.3%)が発症していた。一方、3月の尿抗体陰性者178人では2名(1.1%)のみが発症した。内臓リーシュマニア症の早期発見に結びつく所見と考えている。また、尿抗体陽性であったにもかかわらず発症しなかった人々の免疫学的背景を探ることは重要である。平成18年3月にノバイボッタラ村、Modhu Math村をおとずれ尿サンプル863検体を採取した。
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