本研究は、韓国社会のさまざまな側面における「対日感情」の構造を明らかにしようとするものである。具体的には、韓国社会の文化伝承形態、社会化過程、社会的統制、日常生活形態のなかの反日的要素を探索するとともに、日韓関係の懸案問題について韓国のマス・メディアがどのような「対日言説」を構築していくのか、内容分析(Content Analysis)を行う。そして、その情報の「受け手」の国民はどのように認識しているのかの「アンケート分析」を行い、韓国人の「対日感情」の構造を描き出そうとする。その際、日韓関係を長いタイムスパンで捉えるべく、古代から現代に至るまで、時代の流れとともに何が変わり、何が変わらなかったかを明らかにしようとしている。 従って、研究の前半(2004年9月〜12月)には、古代における日韓関係像を掴むために、古代の日韓関係史に関する文献を広く集め、整理する作業を行った。また、『朝鮮王朝実録』と朝鮮通信史の使行記録など古文献に現れる「日本・日本人観」の整理も行った。 後半(2005年1月〜3月)には、古記録に現れる「日本・日本人観」と戦後マス・メディアの日本言説に現れる「日本・日本人観」とを比較分析するため、『朝鮮日報』、『東亜日報』、『中央日報』、など韓国の全国紙新聞9紙の日本関連記事のデータを収集・整理した。この作業は引き続き進行中である。まだ具体的な研究成果物を出す段階までは至っていないが、研究は計画通り順調に進行している。
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